「シェアハウス」「ルームシェア」「シェアオフィス」など、ここ数年の間でシェアという概念が急速に受け入れられるようになってきました。
最近ではこれらのサービスを「シェアリングエコノミー」型のサービスというくくりで紹介することも多いのです。
今回紹介する「シェアのり」もまさにその1つ。個人間で自動車の貸し借りが気軽にできる、現代のカーシェアリングサービスです。
事業者の車ではなく、個人の車をシェア
シェアのりはその名の通り、車をシェアするサービスです。特徴としては事業者が用意した車をシェアするのではなく、個人が所有する車をシェアするということ。シェアのりは車を貸したい人と借りたい人を繋げる媒介の役割を果たします。
利用方法は非常にシンプル。車を受け取りたい場所(乗りたい場所)を選択すると、その付近から利用できる車と値段が表示されます。
出典 : シェアのり
気になる車が見つかったら空車状況を確認。予約が確定した後は車の所有者とコミュニケーションを取りながら受け取り→利用→返却という流れになります。
車の予約がスムーズにいくように、空車状況を確認する際に複数の車を同時に行える点が1つの特徴といえるでしょう。
注目を集めるカーシェアリングサービス
自家用車の考え方や車の利用方法、ニーズも幅広くなってきており、今までにない車の楽しみ方が求められているのです。
日本だと、例えばタイムズカープラスの前身である「カーシェア24」が2005年からカーシェアリングサービスを提供しています。このサービスでは事業者側が用意した車をシェアすることになるので、レンタカーと似ている部分も多いです。
そこからさらにシェアの要素が増したものが、シェアのりのような個人間で車を貸し借りするサービ。DeNAが運営している「Anyca」も同じ仕組みです。また、アメリカ発で同様のモデルを採用している「Getaround」にはトヨタが出資をしています。
General Motorsもやはり自社で「Maven」という似たようなサービスを運営。これらのことからもカーシェアリングの注目度が高まっていることはわかって頂けるのではないでしょうか。
個人間カーシェアリングのメリット
車のシェアリングサービス自体はこれ以外にもたくさんあるわけですが、その中でもシェアのりを含めた個人間で車を貸し借りするタイプのメリットはなんでしょうか。
・安い
カーシェアリングサービス自体が、レンタカーなどと比べてより安価で車を利用できることをメリットにあげていますが、個人間でシェアをする場合はなおさら安く借りられる可能性があります。事業者側で車を用意する必要もなく、かつ車の所有者が使っていない時間に貸し出すからです。
・車種が豊富
登録している所有者が増えてくると、借りられる車種の幅も当然広がってきます。生産が終了してなかなか手に入れられない旧車や、所有するまではいかないけれど一度は乗ってみたい憧れの車に乗れるチャンスもあります。
・融通が効く
細かい条件は個人間でのやりとりになるので、相手次第ではありますがかなり柔軟に対応してくれる場合も。
例えばシェアのりでは「車と一緒にアウトドアグッズもシェアしてもらった」話や「駅前まで車を持ってきてもらった」話が紹介されていますが、この辺りが個人間で車を貸し合うサービスの面白いところです。
・使っていない車で利益が得られる
これは所有者側にとってのメリットですが、使っていない車(遊休資産)をもとに利益が得られます。シェアのりのサイトにて「自家用車は、日本に6,000万台あるのにもかかわらず、97%の時間は駐車場に眠ったまま」と紹介されていますが、よくよく考えてみると車を使用している時間はほんの少しという方も多いはず。
その車を貸し出すことで、誰かの役にも立てて、その上ちょっとしたお小遣いが手に入るのは嬉しいですよね。
個人間でシェアすることによる可能性
もちろんメリットだけでなく、デメリットというかリスクもあります。
実際、素性も知らない人に車を貸すわけですから、乱暴な使い方をされる可能性や車が返ってこない可能性もゼロではありません。
シェアのりを利用する場合でも、それらのリスクを最小限にとどめるべく「本人確認」「1日自動車保険への加入」などが必要になるほか、プロフィールやレビューを見ることで相手の情報を事前に確認することができます。
シェアリングエコノミーサービス自体が、スマートフォンとSNSが普及したことで急速に広がった一面がありますが、「車」という割と高価なものをシェアする際には信頼性が大きな鍵になるでしょう。
とはいえ、そこがクリアされれば個人間で車をシェアするからこそ生まれる面白さもあるはずです。車のシェアをきっかけに新しい人間関係・交友関係が生まれることもあるでしょう。意外にも近所で趣味の合う人が見つかるかもしれません。
車の楽しみ方や車に求めるものが幅広くなっている今の時代。1つの選択肢として個人間のカーシェアリングサービスが今後どのように浸透していくのか、とても楽しみです。